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何ジロジロ見てるんだ

「ダイスケ、まだ買い足したいものがあるから、今日はショッピングに付き合ってくれないか?」 …不自然じゃないよな?デートの口実にはぴったりだと、昨日からずっと考えていた。どうやって言うか、頭の中で何度もシュミレーションを繰り返したんだから。 腕の中のダイスケが、こくりと頷いてくれた。ああ、本当に可愛くて仕方ない。 「じゃあ、ほら、着替えようか?」 「ん、」 離れる直前にもう一度髪にキスを落とす。何回しても、愛しい気持ちが湧き上がるから不思議だ。 バッグから着替えを取り出して、着ていたシャツを脱ぐ。すると、背後からの突き刺さるような視線に気付いて振り返ってみれば、ダイスケがじっとこちらを見つめていた。 「どうかしたか?」 「えっ?あ…や、なんでもない…」 ばつが悪そうに服を選び始めたのを確認して、再び着替えに手を伸ばした。 ふと、背中をくすぐるように触れてくる何か。 「なあ、触っていい?」 「…そういうのは触る前に言うだろう?」 いつの間にかダイスケがすぐ後ろにいて(いや、気付いてたけれど)、手のひらでぺたぺたと背中を触ってくる。 肩から肩甲骨周辺を撫で回し、ゆっくりと脇腹あたりに指を滑らせてきた。 ああ、これは……マズいやつだ。

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