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髪の毛一本まで触れさせたくないほど愛しくて
【ジャスティンside】
こっちに来てからすぐに連れて行ってもらったショッピングモールに、今日は二人きりで再び訪れた。先日は平日の夕方だったからか人がまばらだったが、今日はいくらか混雑している。
「んーと、3階だな」
「オーケー」
エレベーターの乗り場も多少混雑していて、乗り込むと他の客との距離がとても近付く。
「…こっち、」
「んぉ?」
ぼーっと行き先表示されている数字を見上げているダイスケの肩を引き寄せて、自分の腕の中に閉じ込めた。
なんて狭い心なんだ…
目的のフロアでエレベーターを降りて、人の流れにダイスケが飲み込まれないように腰に手を宛てエスコートする。が、どこに向かえばいいのかわからない。
立ち止まったオレを見上げながら、呆れたようにダイスケが前を指差して、目的の店を教えてくれた。
「あそこ、あのずっと奥の店。いつも行くんだけど、デカい店だしなかなか品揃え良い感じだぞ」
「ふうん…」
中央が吹き抜けになっているフロアの通路を並んで歩く。もちろん通路側はオレが歩き、ダイスケは吹き抜け側へ。
擦れ違う見知らぬ人に、ほんの少しでも触れさせたくない。
「ほら、何いるんだ?」
左側で揺れる黒い髪に見惚れている間に目的の店へ着いたらしい。店の入り口にあるフロア案内図を見ながら、今日の目的の物を思い浮かべる。
テーピング用品とタオル、部活に出られる事になったのでシャツも数枚欲しいところだ。その他にも見たいものがたくさんある。
「そうだな、じゃあ…まずはここから」
「ん、こっち」
とりあえず、バスケコーナーへと向かった。
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