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髪の毛一本まで触れさせたくないほど愛しくて
ラックに掛けてあるTシャツを数枚手に取り、体に合わせてみる。ちょっと小さい。ワンサイズ大きなものを再び選んで、くるりとダイスケの方を向いてみた。
「ダイスケ、どう?」
「ん?あ、それ俺も持ってる」
すぐ乾くからいいよなー、なんてにこりと笑って言うけれど、問題はそんなんじゃない。
今何て言った?これを、ダイスケも持っている?
ペアルック??
「このシリーズのシャツさ、なかなか動きやすくて気に入ってんだよなー」
「へ、へぇー…そう、なのか」
内心嬉しくて仕方ないオレには気付かずに、俺ももう一枚買ってこっかな、と、ダイスケも隣でシャツを選んでいる。
ダイスケが手に取ったものと色違いのものが、今オレの手の中にある。同じものを選ぶというセンスがとても嬉しくて、ついそれを顔に出さないように平静を装って、ダイスケの持ってるシャツを取った。
「あ、おい!」
「買い物付き合ってくれたお礼に、プレゼントさせてくれないか?」
「…キザったらしいな」
一瞬言葉が出なかったようだけれど、くるっとそっぽを向いたその耳まで紅くなっている。
足早に歩き始めたその背中を、ゆっくりと追い掛けた。
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