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髪の毛一本まで触れさせたくないほど愛しくて

テーピングに必要なものを頭の中でリストアップする。それにプラスして、ダイスケの体を保護する目的のものも探した。 オレとダイスケのプレイスタイルはもちろん違って当然だ。 ダイスケはその小柄な体とスピードを活かして、速いゲームメイクを求められるだろう。そうなれば、当然ながら相手のマークもキツくなり、当たられる事も増える。 「…はあ、心配だ」 ケガだけはしないでほしい。いや、オレがいる間は、ダイスケにケガなんてさせるつもりはない。 ケガ予防のためのテーピング方法を、ダイスケにきちんと教えよう。オレが帰ったら、一人で出来るようになってもらわないと困る。 他の誰かにさせるなんて許さないからな。 なんてどす黒い独占欲なんだと、自分で呆れてしまう。 「すげえ真剣だな」 フックに掛かる数種類をじっと見較べていると、ふと背後から声が聞こえてきた。いつの間にか隣に立ったダイスケが、苦笑しながらオレの手の中にあるものを見つめている。 そりゃあ、ダイスケを守るためなら真剣になるさ。なんて言ったら、どう思うだろうか。 「日本のものは質が違うからな、興味深い」 「へえ、そうなの?」 あ、今少し肩が触れた。 たったそれだけなのに、心臓が踊り出しそうなほど嬉しい。 「ダイスケ…帰ったら、テーピングの巻き方覚えようか」 「あー、俺いっつも誰かに頼んでるしな…」 隣に並ぶダイスケの左手の甲に、不自然にならないようにそっと触れる。誰にも、触らせたくない。 「大丈夫、自分で出来るようになるさ」 「んー、まあ頑張ってみるけど」 ここが、ダイスケのいいところ。けして無理だと思わず、やってみようという向上心がある。だから伸びるんだ。 そっと黒い髪を撫でてみる。なんだよー、とは言いつつも、おとなしくされるがままになってくれているのが嬉しくて、さっきまで湧き上がっていた黒い気持ちが伝わってしまわないように、優しく優しく撫でた。 この髪の毛一本まで触れさせたくないほど、愛しくて恋しくて仕方が無いんだ。

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