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恋の熱に浮かされそう
【創side】
久々に一人の帰り道。いつも通る道なのに、まったく違う景色に見えた。
別れ際に言われた「ちゃんと日陰歩けよ!」という継の言葉を思い出すと、ついつい顔が緩んでしまう。でも今の時間帯に日陰を探して歩くのも大変だ。
「あつ………」
ああ、確かにこの暑さの中の体育館は、いくらピアノを弾くだけだとしてもさすがに辛いかもしれない。じっとりと腕にまとわりつく湿気が、だんだんヒリヒリとしてきた。
日焼けなんかしたら継に怒られちゃうな。
そんな事を考えながら、夕飯の買い物をするためにいつものスーパーへ向かった。
自動ドアを抜けると、一瞬で冷気が火照った体を包み込む。ひんやりとした空気にホッと一息ついて、ゆっくりと店内を歩いた。
今日は挽き肉が安いから、ハンバーグにしようかな?ジャスティンもいるし、照り焼きハンバーグを食べさせてあげよう。ツナ缶があったし、ツナサラダでも作ろうかな。あとはコーンスープがあればいいや。
買い物カゴ、いつもなら継が持ってくれるからゆっくり見比べて野菜コーナーを回ってたけど、今日はそうもいかない。挽き肉が一キロ、これだけでも既にずっしり重くて、それにペットボトル飲料が数本かと思うとちょっとキツい。
「…ジュースは継達に買って来てもらおっかな」
うん、そうしよう。
野菜コーナーでレタスや胡瓜、トマトをカゴに入れて、レジへ向かう。まだ早い時間だからか、人の列はなかったのですぐに会計してもらえた。
手早く袋に詰め込むと、ギラギラ光る太陽の中へ飛び込んで行く。
継と一緒なら、こんな暑さはなんともないのにな。
一人でいる事があまりないから、気付けばつい継の事を考えてしまう。こんなにもおれの一部になってるんだ。
早く帰って来ないかな…ぎゅってして、キスしてほしい。
途端に熱くなってきた体を包み込む湿気に耐えながら、日陰を選んで歩いた。
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