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きっと最高の夏になる
【継side】
「後ろっ、大介っ!」
「おうっ!」
体育館に響くボールの音、床を蹴る靴音、そして互いに掛け合う声。熱気と湿気の中で倒れそうになりながらも、夢中でボールを追い掛ける。
梅ちゃんの思惑通り、大介はポイントガードとしての動きを着々と身につけている。もちろんオレだって負けるつもりはないからな、みっちり練習してるし。
夏休みが始まってすぐに、地区予選がある。そこで負けたら、もう先輩らは引退、オレ達が一年を引っ張る立場だ。
「声出せ一年!」
「ナイッシュー継先輩!」
「大ちゃん先輩ナイスパスです!」
少しでも長く先輩達と一緒にプレーしたい。そのためには、もっと上手くなって強くなって、一点でも多く点を取る。
公式戦には出れないけど、今年はジャスティンがいる。大介だって、みるみる新しいポジションに慣れて上手くなってきてる。
オレだって、負けてらんねえな。
今年は、きっと最高の夏になる。
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