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大丈夫、きっと大丈夫
短い試験休みが終わり、久々にクラス全員が教室に揃って終業式を迎えた。それと同時に、ジャスティンの留学期間も終わりを告げる。といっても、夏休みの間は綿貫家に身を寄せる事になるけれど。
簡単な挨拶をして、クラスメイトから手紙や色紙などを受け取り、そのまま部活へ。
「じゃあ、先に帰ってるね」
「ん、気を付けて帰れよ?」
ちゃんと日影通れよ!と継がそう付け加え、くしゃりと創の髪を撫でる。
月末に控えたピアノのコンクールのため、試験休みの間もひたすらに鍵盤を叩く日々。継は継で公式戦が明日あるため、朝からずっと練習に明け暮れていた。そんな継のために弁当を作って持たせたり、帰宅後すぐに入れるように風呂の準備をしたり、夕飯の支度をしたり。それがなんだか少し幸せだと感じる。
二人で一緒にいられる時間がいつもより少ないが、そのぶん濃い時間を過ごしていられるんじゃないか、とも思いながら、少ない日影を選んで歩く。
「…はあ、早く帰って練習しよ」
鍵盤を叩いている時だけは、他の事を忘れられる。
自分の隣にあるはずの存在がないなんて、早く忘れてしまいたかった。
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