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未完のラブ・ソング
ホールに響き渡る拍手と歓声。賞状と盾を受け取った創が、舞台からゆっくりとこちらに向かって頭を下げる。
顔を上げた創と視線が重なって、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような気がする。
一通り挨拶を済ませた創が、ぱたぱたとオレの待つ階段下の吹き抜けへ走ってくる。
「けえっ!」
「ぉわっ⁉︎…っぶねぇ」
その勢いのままオレの腕の中に飛び込んできた。まあもちろんしっかり受け止めたけど。
頭を撫でてやると、ふわりと微笑んで見上げてくる。ああ、マジで可愛い。天使だ。
「継、帰ろ?」
「おう、ほら、荷物よこせよ」
バッグを受け取り、空いた手を繋ぐ。
ホール入り口の自動ドアを抜けると、今まで忘れていた湿気と太陽の光。なるべくオレの影の中に創が入るようにして歩き始めた。
すぐに隣からご機嫌な創の鼻唄が聞こえてくる。今回のために作った曲のメロディラインで、オレが一番お気に入りの旋律。
生暖かい風が頬を撫でていく。ちらりと創を見れば、目を細めてこっちを見上げて笑う。
「継、大好き!」
「オレだって!」
ずっとずっと、愛してる。
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