355 / 507
午前二時のコール
洗い物はやらせておくという梅さんの言葉に、じゃあ送るから帰ろうという好美さん。ちらりと継を伺っていると、ものすごく寂しそうな顔をされてしまった。耳と尻尾が垂れてるのが見える。
なんか、胸が痛むなあ…
「継…また明日、来ていい?」
「来てくれんの?」
「来ていいなら来たいな。継の頑張ってるとこ見たいもん」
「ん、じゃあ頑張る」
こつんと額を当てて、ゆっくりと瞼を閉じる。いつものように背中をぽんぽんと叩き、大丈夫と呟くと、腰をぐいっと引き寄せられた。
「家着いたら電話しろよ?」
「うん」
「あ、でもその前に戸締りな?」
「うん」
「そんで、家中の電気点けて、誰か来ても出るなよ?」
「ふふ、わかった」
どれだけ過保護なんだろう。ほら、好美さんが笑ってる。
梅さんが継を引き剥がしてしまったので、名残惜しいけど家庭科室を出る。すぐにばたばたと足音が聞こえてきて、気付くと指先が絡んでいた。
「こら、だめでしょ?」
「…そこまで送る」
好美さん、そんなに笑わないでよ。
ロード中
ロード中
ともだちにシェアしよう!