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午前二時のコール

【好美side】 うちの息子と一日違いで生まれたこの双子が、まさかこんな関係になるだなんて思わなかったわ。まあ、仲が良いのは知ってたけど、打ち明けられた時は正直ちょっとびっくりした。 でも、引くとか軽蔑とか、そんな感情は全くなかった。ずっと一緒に育ってきた家族の一員みたいで、私には息子が三人いるつもりでいたから、この双子もほんとに可愛がって育てたし、時には怒ることもあった。そんな大事な二人が悩んで考えた末に出した結論なら、自称育ての親としては口出し出来ないし、もちろんするつもりも最初からない。 お互いがお互いを尊重し合い、大事にしてるのがわかる。だからかな、見ていて微笑ましいっていうか、癒されるっていうか。 「…こんなに継と離れるの、初めてかも」 「そうよねぇ、だって修学旅行でも夜中こっそり継ちゃん部屋に来たんでしょ?」 隣でこくりと頷くのを横目で見ながら、ハンドルに置いてた左手で、創ちゃんの柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でる。 あーもう、なんなのこの子!継ちゃんの気持ちも分かるわ。ほっとけない。可愛い! 「大丈夫?今日泊まってく?」 「…ううん、継に電話しなきゃ」 ふるふると頭を振って、照れたように微笑むのがもうほんと可愛いわ!天使!継ちゃんがよく天使天使言ってるけど、ほんと天使! そりゃこんな可愛い子が一人で夜を明かすとか、心配になるわよね。あんな過保護になるのも当然よ… 「はい、到着っと」 「ありがとう、好美さん」 車で10分足らずのところにあるからね、歩いて余裕で行かれる距離なんだけど。夜だし、乗せてかないと継ちゃんが送るとか言い出すからね。まあもともと送るつもりだったんだけど。 家の前に車を停めて創ちゃんを下ろして、ばいばいと手を振る笑顔に癒されて帰り道を運転した。 あー、ほんと可愛いわ…
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