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林先生のお願い

【継side】 「…継といられる時間、なくなっちゃう」 寂しそうにそう言って微笑む創。 なんじゃこりゃ、超可愛いじゃんかっ!なんなんだよこの生き物! 思わずぎゅっと抱きしめて、首筋にスリスリしたら、くすぐったいと体を捩って、でも逃げる事なくオレの好きなようにさせてくれる。 うわあ、もうなんだよホント、可愛すぎて困るってこういうのを言うんだろうな。 「もう、なんだよホント…」 「継?」 「オレだって創といる時間が減るのはやだけどさ、でも創に合ってると思う」 中学の頃は全員どっかの部活に入らなきゃいけなかった。オレはもちろんバスケ部、創は吹奏楽部だった。 その時も創は部長で、ピアノが入る編成以外は指揮台に立っていた。 だって、音楽の先生が吹奏楽部の顧問だったけど、明らかに創が指揮した方が音が良かったし。なんだろうな、違いはやっぱり創の耳だろうな。 「ひやっ、ぁ、ん…っ、」 「これ、創のイイとこ」 「ぅ、ん…ふ、あ、」 耳たぶを甘噛みして、ぴちゃぴちゃという音を立ててそこを舐めてやれば、腕の中でびくりと体が震える。 あーやべえ、可愛い。 「んっ、けぇ」 「…創さ、耳イイじゃん?だから音のバランスとかも分かるし、指揮者とか向いてると思う」 創は耳がいい。単純に小さい音を聞き取るとかそういうんじゃなくて、音を聴き分けるのが得意で、曲を聴いただけで使ってる楽器がわかる。もちろん音量が小さい楽器でも、きちんと聴き分けられる。 だから、前に立って色んな音が一気に聞こえてきても、どのパートがズレてんのかとか気付けるんだよな。 柔らかい耳たぶをはむはむしながら、腕の中の創をちょっとだけ堪能した。
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