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合宿最終日

【継side】 「ぐっちょ!」 フリーになったオレにしゅっとパスが飛んでくる。ナイスタイミングだな、さすが田口。 しっかりと通ったパスを受けて、ドリブルで切り込んでいく。ディフェンスが二枚付いたけど、軽くフェイントしたらあっさり交わせた。うーん、それもそれで問題だけどな。 両手でボールを掴んでそのまま体の向きを変えて、ぐっと膝を曲げる。足が床から一番離れた瞬間に腕を伸ばして、手のひらからボールを放った。 入った。ジャンプの高さ、手を伸ばすタイミング、ボールの軌跡、全てが完璧。 リングに擦る事なくバスケットに吸い込まれたボールが床に落ちた時、ホイッスルが鳴った。 「ぅっし!」 「ナイッシュー継!」 ぱん!と田口とハイタッチして、センターに向かおうとした。 開いたままの体育館のドアから風が入ってきて、暗幕が捲れる。 ドアに両手を掛けて、中を窺っている人影が一瞬だけ見えた。 たった一瞬だけだって、オレがそれを見間違えるはずがない。 「創っ!!!!」 「えっ、あれ?うそ、今ので見つかっちゃったの?」 梅ちゃんが何か言ってるけど、そんなんガン無視して走り出した。
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