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牙のない狼

【創side】 スーパーでカゴにいっぱい食料品を買い込んだ。重いからいいよって言ったのに、継がどんどんカゴに入れていく。 会計してビニール袋が4袋。でも2袋に軽いものばかり入れて、継が重いものを全部持ってくれた。 「これなら3日くらいもつよな!」 「ごめんね、そっち持つから貸して?」 にかっと笑う継は、背中に合宿の荷物を背負って、左手に袋をぶら下げて。右手はしっかりとおれの手を握ってる。 ぎゅっと力を込めて引き寄せられて、さっき体育館でおれがしたみたいに耳元で囁いてきた。 「買い物行かなくていいよな、だからずっと抱きたい」 それはおれも同じだから。 玄関先で靴を脱いで一段上がる。ドアを締めた継がそこに鍵をかけて、こちらを振り向く。 どさっと荷物が床に投げ出されて、頭の後ろを継の手のひらで引き寄せられた。 「んっ……ふ、あ…っ」 「…悪りぃ、我慢できない」 少し強引に唇を塞がれると、どん、と壁に押し付けられる。両手を頭の上でまとめられて、熱い舌が入り込んでくる。 擦り合わせるように舌を撫でられて、体の中がぞわぞわする。気持ちいい。 継はおれの気持ちいい部分なんか知り尽くしてる。一瞬で熱が灯るのが自分でもわかった。 「ぁん…け、ぇ…」 継がおれを求めてくれてる。嬉しい。おれだって継が欲しいから。 けど… 「んっ、継…手、はなし…」 「…イヤか?」 ふるふると首を振る。そっと手首を拘束する力が弱まって、そこから抜け出した。継に掴まれていた部分が熱くてジンジンする。 ゆっくりと腕を継の首に掛けて、後ろ髪を撫でてやる。 「…イヤじゃないよ?」 継がしてくれる事にイヤな事なんて一つもない。 ただ、おれも継が欲しいっていうのをわかってほしくて。 「継……おれも、我慢できない…」 そのまま引き寄せて、継の首筋に噛み付いた。

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