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アイス

【創side】 「あれ、アイス無いじゃん」 「昨日の夜食べたので終わりじゃなかった?」 朝食に用意したホットケーキとサラダをぺろりと平らげて、グラスに注いだ牛乳を一気に飲み干した継。昨夜お風呂上がりに自分で冷凍庫を開けたの、忘れちゃったのかな? 冷凍庫のドアを閉めてむぅ、と尖らせた唇にちゅっとキスをしてあげると、そのまま後頭部を抑えつけられて、深いものに変わる。くるりと態勢を入れ換えられて、冷蔵庫に寄り掛かる。 「っん……はぁ、継…」 「…なあ、散歩がてらコンビニ行かねえ?」 「ん、じゃあ台所片付けちゃうね」 もう一度、今度はにんまりと弧を描くそこに口付けて、食後の後片付けをするためにシンクへ行き、エプロンを掛ける。蛇口から流れ出る水が冷たくて、今ので少し火照った手のひらと気持ちを冷やしてくれた。 ふと背中に暖かさを感じると同時に、お腹に回される腕。肩に重さが掛かり、耳元で少し低い声が聞こえる。 「アイスの代わりに創食っちゃだめ?」 「今はだめー」 「じゃあアイス食ったら創も食う」 首筋に吸い付かれて、すぐにぺろりと舐められた。耳朶を甘噛みされて、そのまま舌を捩じ込んでくる。 あ、どうしよ、これダメなやつだ… 「ん…継、ちょ…っふ、」 「可愛い、創」 なんとか頑張ってお皿を洗い、泡だらけの手を水で流すと、継の腕の中でくるりと振り返り、イタズラばかりするそこに人差し指を宛てた。 むっとしたように唇を尖らせるけど、ダメなものはダメ。 「ほら、アイス買いに行くんでしょ?」 「ん…じゃあちゅーして」 継のシャツをきゅっと握って、そこに触れるだけのキスをする。すぐに離れると、じっと見つめてきた。 足りないよね、おれもだけど。 「ほら、早く行こ?」 早く、アイスよりも欲しいものがあるから。
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