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やわらかな溺愛
【創side】
「くっそ暑ぃな…」
そう言いながら、自分の影に入るようにさりげなく立つ位置を変えて歩いてくれる継。こんなさりげない優しさに、愛されてるんだなあとすごく実感するんだ。
気付かれないようにほんの少しだけ継の側に寄る。ちらりとこちらを見てから、繋いでいた手のひらに力を込めてくれた。
「えへへ、大好き」
「ん、オレもすげえ好き」
「おい、二人の世界に入ってるとこ悪いけど、さっさと行こうぜ」
「同感だ」
後ろから聞こえてきた二人の声。
今日は、ジャスティンと大ちゃんも一緒に、水族館に来ました!
父さんと母さんがくれた水族館の招待チケットが4枚あるので、それを入館チケットに変更してもらうために継が受け付けに向かう。もちろんおれも隣に並んで。
お姉さんにチケットを交換してもらい、大ちゃん達にも手渡した。ここから二人とは別行動するので、お昼頃に待ち合わせする事になった。
この水族館は入館チケットをゲートに通して、一人ずつ通過する。一旦継と手のひらを離すと、さりげなく継がおれの腰に手を添えて、間に誰も入り込まないように後ろについてくれた。
「ふふっ、ありがと」
「ん?」
なにが?なんて聞いてくるあたり、きっと無意識の行動なんだろうね。
ポーン!というチケットを通した音のあと、開いたゲートを通る。すぐに継もそこを通って、延ばされたその手のひらにおれのを重ねると、きゅっと握ってくれた。
「ねえねえ継、イルカ見たい!ペンギンとアシカも!」
「分かってるって」
苦笑する継の腕を引いて、人混みの中に入って行った。
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