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とびっきりのプレゼントをあなたに
「カレーできたから、お風呂入ってくるね」
「ん、わかった」
頬っぺた赤くしてそう告げると、ぱたぱたと台所を去っていく。いつもは二人で入ることが多いんだけど、今日みたいに創が夕飯作ってたりとか、オレが部活で遅かったりすると別々になる。
その他にひとつだけ、創が一人で入りたがる理由がある。
それは、この後確実にヤるってわかってる時。オレを受け入れる準備をするために、一人で入ろうとする。けど、オレからしたらそれはすげえ残念なわけで。創の体を拓いていくのは、いつもオレでいたいんだよ。オレのためにしてくれてるのはわかるけど、でもやっぱオレがしてあげたい。…違うな、オレがしたいんだ。
……よし、乗り込むか。
テーブルの上に並べられた食事にラップをして、冷蔵庫に放り込む。コンロの火が消えてるのを確認すると、風呂場に戻った。
脱衣所でさっき着たばっかの服を手早く脱いで、音がしないようにそっとドアを開ける。ちょうどシャンプーを流していたところで、オレには気付いてないみたいだ。後ろからゆっくりと近付いて、シャワーを持つ手を掴む。
「ひゃわっっっ!!!!」
「ははっ、なんつー声出してんだよ」
「えっ、だって…!」
「ほら、いいから目と口閉じてな」
流すぞと声をかけて、少し温めのシャワーで髪を濯ぐ。肩から背中、そして腰へと流れていく泡。その細い腰に触りたいのをぐっと堪えて、しっかりと洗い流してやり、最近変えたばかりのリンスを手のひらに取る。
ぎゅっと目を瞑る創が可愛くて、ついその唇に齧り付きたくなるのをどうにかして見ないようにしながら、髪全体にリンスを纏わせる。あ、これ。
「創の匂いだ」
「えっ、ちょっと待って!くんくんしないで!」
んー、でもちょっと違うか。創からする匂いには違いないけど、創の匂いではないな。創はもっと甘い匂いだし。
なんだろ、いつの頃からか創がめちゃくちゃいい匂いさせてんのに気付いてから、なんかもう堪んないくらい創が美味そうに見えてたんだよな…プリンみたいに甘くて、桃みたいに爽やかで、でもそれとは違う創の匂い。
うあー、やばい、落ち着けオレ!違う事考えろ!ほらアレだ、うん、そう!言わなきゃなんない事あった!思い出した!
創の髪にするっと滑る指先の感触に囚われながらも、どうにかシャワーで流していく。きゅっと閉じられた目がイヤで、早くそこにオレを映してほしいから。
「…ほい、終わり」
「ん…ありがとう…?」
首を傾げて見上げてくる創がもうめっちゃくちゃ可愛い!!!!あー、ムリ、やっぱ無理なので諦めよう。
すーっと頬に垂れてくる水滴を拭ってやって、そのまま耳たぶに噛り付いた。
「んっ、なに…?」
「…あのさ、オレ」
一瞬だけ迷ったけど、でも言わなきゃ。
「オレ、体育大には行かない」
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