397 / 507

やわらかな溺愛

【継side】 「うわあっ、見て見て継っ!」 ギリギリで間に合ったイルカショー。けど夏休みって事もあって、座席はほぼ満席。やっと見つけた一席に二人で座る。というか、座ったオレの膝の上に創が座る。 後ろから抱き込んで肩に顎を乗せて一緒に眺める。深いプールから勢い良く飛び出したイルカ達が、次々とジャンプして水しぶきを飛ばしてる。時折釣られたボールを尾びれで蹴ったり、ぐるぐると何回転もしながらジャンプしたり。 「すごーい!」 「すっげえなー!」 珍しくきゃっきゃっとはしゃぐ創をぎゅっと抱きしめて、どさくさに紛れて頬ずりしてみた。ああ、もうほんと可愛くて困る。 早く帰りたい。この可愛い創を誰にも見せたくない。 「継、見える?」 ふと振り返る創が、そうやって気遣って聞いてきた。 正直イルカはどうでもいい。そんな事言ったら拗ねてしまうのは分かり切ってるから、大丈夫、ありがとうとだけ答えて髪を撫でると、またイルカ達に視線を向けてしまった。 こっち向いて欲しい。でも楽しそうな創も見てたい。すげえ矛盾してるよな。 「はーっ、すごかったね!」 「ん、そうだな」 「あの赤ちゃんイルカも可愛かった!」 お前の方が可愛いよ、創。耳元で囁けば、繋いだ手が一気に熱くなる。 ああもう、ほんと可愛い。
0
いいね
0
萌えた
0
切ない
0
エロい
0
尊い
リアクションとは?
コメント

ともだちにシェアしよう!