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癒される
【継side】
屋外プールから室内の展示に戻り、すっ飛ばしたとこまで順路を逆に辿って二人で歩いてきた。
小さな水槽が並んだそこから、青や緑のライトが光り、魚を照らしている。
「可愛い、ニモだぁっ!」
オレンジ色の小さな魚がたくさんいる水槽の前は、少し人だかりができていた。でもそれもすぐに前から順にどいてくれて、オレ達も見やすい位置に行く。
イソギンチャクの中から鼻先だけ出すやつ、隅っこで動かないやつ、一匹だけ変な動きをするやつ…色んなのがいる。
ちょん、と水槽を突つく創がすげえ可愛い。
「あっ、あっちクラゲ!」
くるくる変わる表情。楽しそうでよかった。
手を引かれてクラゲの水槽へ移動する。仄暗い、でも虹色に色が変わっていく光がとても幻想的で、その辺りだけ別の空間みたいだ。
壁際に設置されたベンチが空いたので、今度はオレが創の手を引いてそこに座る。当然のように膝に乗ってくる創を後ろから抱きしめた。
「あの赤いクラゲって毒があるんだって」
「へぇ〜、あんなダラダラしてるのに、意外に強いんだな」
水槽いっぱいに広がる脚だかなんだかわからないやつがふわふわと漂うのをじっと眺めていたら、ふっと創の体から力が抜けた。オレの肩に頭を乗せて、全身でオレに凭れてくる。あ、なんかこれ、イッた後の創みたい。やばい、こんな事で勃ちそうなんだけど、オレどうすればいい?
なんとか落ち着かせてしっかり創を支えながら、疲れた?と耳元に唇を寄せながら尋ねると、クラゲの真似、なんて言って笑う。
クラゲにはなんか知らないけど癒し効果があるらしい。まあクラゲにそれがあるかどうかなんか別にどうでもいいけど、創はそこにいるだけでオレを癒してくれる。
「創、愛してる」
なんとなく今伝えたくて、ぎゅうっと力を込めて抱きしめながら耳元に囁いたら、ふわりと微笑んで「おれも、愛してる」なんて嬉しそうに言ってくれた。
ああ、すげえ癒される。
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