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甘やかしすぎ
結局ぬいぐるみにお菓子やら雑貨やらを合わせて三袋。にこにこ笑顔の創からその袋を奪い取って、空いた手を繋ぐ。
水族館を出れば、同じようにショップの袋を持っている人達が駅に向かって歩いて行く。その流れに乗って四人で進み、このまま一旦家に寄ってから大介達が帰る事になった。なんか、創が大介に渡す物があるらしい。
電車は少しだけ混んでいた。創をドア側の隅の所に引き寄せて、体の両側を囲むように立つ。うん、これでいいか。誰にも触らせたくない。すぐ後ろから「どんだけ甘やかすんだよ…」なんて呆れたような大介の声が聞こえてきたけど気にしない。
「継……」
「ん?」
「あ…ううん、なんでもない。ありがとう」
ふわりと笑った創。あー、その上目遣いは反則だろ。
手摺りを握るオレの手首のあたりに、創の暖かい手のひらが重なる。そのまま見つめあって話しながら、どんなに電車が揺れても体勢をキープして、創を腕にずっと閉じ込めて帰った。
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「はい、これ持って行って」
大介に差し出された紙袋。朝から創が何かゴソゴソやってたのは、これを準備してたのか。
中を覗き込んだ大介が真っ赤になって何か喚いてたけど、早く創に触りたいから無視して追い出した。
「何渡したんだ?」
「今日は好美さんいないって言ってたから、ちょっとだけどおすそ分け」
あと朝に軽く食べられるように、とパンやヨーグルトなんかを入れてやったらしい。
「ん?なんで朝?」
「だって、ジャスティン手加減出来なそうだし」
「あー、確かに」
くすくす笑う創を横抱きにして、風呂場に向かう。浅くお湯を入れてる間に創の服を脱がせて、オレも脱がされる。
「これ使う!」と水族館で買って来た入浴剤を浴槽に放り込んだ創の体を泡まみれにしてやると、当然のようにオレも同じく泡まみれにされた。
「創、ここ」
シャワーを止めて小さな椅子に座りぽんぽんと叩けば、素直に膝の上に乗ってくる創。一度ぎゅっと抱きしめて、わざと創が弱い耳元で囁く。
「…触っていい?」
「っん………ねえ、キスして」
まだ何もしてないのに既にとろんとした目で見上げてくる。ゆっくりとその柔らかい唇を塞ぐと、すぐに甘い声が漏れた。
もっと甘やかして、グズグズに溶かしてやりたい。
そんな事を考えながら、昼間食べたホットケーキよりも甘い創の咥内を味わった。
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