415 / 507
採寸
「はいはーい、ちゃちゃっとやっちゃって〜!」
呑気な林先生の声が人垣の向こうから聞こえる。おそらく手芸部であろう皆さんに囲まれて、手や足、肩や腰周り、ありとあらゆる部分を計られた。
あれ、やっぱりこれ、あの時と一緒だ。
頭の中に思い浮かんだ、球技大会のあの光景。あの時もやっぱりこうして囲まれたんだったっけ。まあ継が喜んでくれるなら何だって着るけど。
でも、太ももはちょっとやだな、擽ったい。継が触ってくれるのはイヤじゃないのに。どうせなら継が採寸してくれたら良かったなあ、なんて。
「あの、おれの衣装とか何か作るんですか?」
「うん、楽しみにしてて!」
にっこりと、ううん、違う、ニヤリと笑った部長の立川先輩。あ、この笑い方、継みたい。何か企んでる時の笑い方。
まあ、たしかに長峰さんの代理とはいえ、長峰さんの衣装を着るにはサイズ的にも無理があるし、新たにおれの分だけ作るんだろうけど。
ちらっと内藤さんに視線を移せば、ぱしんと肩を叩かれた。
「悪いようにはしないから大丈夫よぉ!」
「うん…」
そう言って楽しそうに色々とメモしてるけど、やっぱり内藤さんも継みたいに笑ってる。
立川先輩と時折話しながら、なぜかポーズを指定されて写真も撮られた。
ホントに大丈夫かなあ…?
ともだちにシェアしよう!

