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お迎え

【継side】 今日は朝からバドミントン部が体育館を使う日だから、オレらバスケ部は外でランニングと筋トレ、そして部室でミーティングしたら終了。 昼前には終わったから、創を迎えに音楽室まで一気にダッシュ! ばーん!と扉を開けると、人だかりの中に創が困ったような顔で笑っていた。 「ちょっ、おい!お前らオレの創に何してんだ⁉︎」 ぐいぐい人を掻き分けて輪の中心に出て、創の腰を引き寄せてぎゅっと抱きしめる。いきなり出て来てびっくりしたのか、大きな目を更に大きくして見つめてきて、かなり可愛い。 きゅっとシャツを握ってくる手のひらにオレのを重ねて、「創、大丈夫だからな」と耳元に囁いた。ほんのりと頬を赤らめて、潤んだ瞳で見上げないでくれ、勃つから。 「継、大丈夫だよ?」 ふわりとオレの腕の中で微笑む創は、マジで可愛すぎる。ヤバい、早く連れて帰ろ。 「あのね、文化祭の衣装作るんだって」 「え?ああ、それでか…」 にしても、寄ってたかって創に触るとかはいただけない。オレの創なのに! 「継ちゃん、ちょっと」と林先生に呼ばれ、顔だけそっちに向ける。こいこいと手招きされたから行ってみれば、手芸部の部長だっていう先輩がスケッチブックを持ってきた。 ぺらりとそれを捲って、【吹奏楽・文化祭】のタブのページを見せられる。揃いのジャケットのデザイン画が描いてあって、手芸部が衣装作るんだっていうのを説明された。 で、次のページ。【指揮者】と書かれたその衣装は、もともと長峰が着る予定だったんだけど、急遽創に変更された。 「ねえ継くん、お兄ちゃんは可愛い方がいいと思わない?」 「は?何言ってんだあんた、創は可愛いに決まってんだろ」 「ふふっ、だから、ね…?」 更にページを捲ると、新たなデザイン画が描いてある。それはさっきの指揮者のデザインとそれほど変わらなかったけど、決定的な違いが一つ。 スカート。 「………へぇ、分かってんじゃん」 「球技大会の時より可愛く仕上げてあげる」 お互いに目的が同じなのが分かって、どちらからともなく差し出した手を堅く握り合った。 いや、でもちょっと待て。吹奏楽とか軽音部の発表って、体育館のステージだよな?そしたら、あんなスカートとか…… 「まっ、待った!やっぱダメ!」 チッと舌打ちする部長。当たり前だ、下から丸見えじゃんかよっ! 「いいかっ、絶対ダメだからなっ!」 そう念押しして、創の荷物を持って音楽室を二人で出た。

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