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ジェラシー爆発
【創side】
昨日の雷が嘘のような青空の下、大好きな継と指を絡めて歩きながら学校へ来た。今日は吹奏楽部の練習もあるので、帰りも一緒。ふふっ、嬉しいなあ。早く帰りたくなっちゃった。
体育館と音楽室のある校舎が分かれる渡り廊下で、継がぎゅっとしがみ付くように抱きしめてきた。
ぽんぽんと背中を叩いてあげると、鎖骨のあたりに額をぐりぐりと押し付けてから顔を離す。そのまま触れるだけのキスをしてくれた。
「終わったらすぐ迎えに行くから」
「うん、ありがとう。でも片付けサボっちゃだめだよ?」
「…ん、わかってる」
じっと見つめてくるのがなんだか可愛いな。いつもはかっこよくてドキドキするけど、最近はこんな感じ。
今まであんまり離れて何かをする事もなかったし、あるとしてもお互いの姿が確認できるような場所にいた。でも今は体育館と音楽室。継が寂しがるのもわかる。おれだって寂しいもん。
「頑張ってね?」と手を振り、ちらちら振り返りながら歩く継の背中が見えなくなるまで見送る。
さあ、おれも頑張って良い音造るぞー!なんて気合いを入れて、一気に重たくなった足を階段に向けた。
「そぉせーんぱああーいっ!」
ぱたぱたと足音を響かせてこっちに走って来るのは、一年生の新井くん。中学の頃に吹奏楽部で一緒で、何かと懐いてくれていた。
犬みたいに全力でこっちに走って来て、嬉しそうににっこり笑うのは可愛いなあとは思うけどね。でもちょっと、うん、どうしよう、背中が重い。
「おはようございますっ!今日はすっごい自主練してきたんで、後で聴いてくださいねっ!」
「うん。でもその前に降りて、重いから…」
全力で走って来て、背中に飛び付く。飛び付くというよりしがみ付く?どっちにしてもおれより大きくなってしまった新井くんが背中に乗ってると、それを支えるだけの力もないし、振りほどける力もない。
「はーい!」と元気よく返事を返してくれるものの、拘束された腕がほどかれる気配がない。
「新井くん?」
「…創先輩、ココ、どうしたんですか?」
つん、と指先で髪を掻き分け耳の後ろ辺りを触ってくる。どうって、何がだろ?
「……耳の後ろんとこ、紅くなってる」
「え?なんだろ、蚊に刺されたたのかなあ?」
特に痒くもなかったし、気付かなかった。帰ったら継に薬塗ってもらうね。そう伝えると、やっと離してくれて。
くるりと振り返ると、眉を顰めた新井くんが何かを言いかけたところで音楽室のドアが開き、林先生が来た。
「くそっ…」拳を握って自分の練習する席に向かう新井くん。どうしたのかな?お腹でも痛いのかな?
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