435 / 507

君のハートを射てばいい

【継side】 「いやーん、似合うじゃないのよ継ちゃん」 「サンキュー、好美さん!」 今日は地元の夏祭り。毎年こうして好美さんに浴衣を着付けてもらって、大介と三人で出掛けていた。でも今年は創と二人。なんでかって?そりゃいつでも創と二人がいいに決まってる。まあ、今年はアイツが大介の相手してくれるしな。 先に浴衣を着ていた創の前でくるっと回ってポーズを決めてみる。恥ずい。でも創ならきっと。 「ふわぁ…継、すっごくカッコいい…!」 「へへ、創も超似合ってる!」 ぎゅうぎゅうに抱きついてくる創の髪を撫でたところで、「さあさあ二人は先に行っておいで!」と好美さんに追い出された。 オレ達を先に着付けしてくれたおかげで、創との時間が少し増えた。ありがと、好美さん。 ドアを開けるとムッとした空気が体にまとわりつく。 「暑いねぇ〜」 「ヤバい、暑い」 お互いそう口に出したものの、同時に差し出された手のひら。 笑い合いながら、当然それを重ねて歩き出した。 まだ日も落ち切っていない。なるべく創を影に入れるようにしていたら、ぎゅっと腕にしがみついてきた。 「…暑い?やだ?」 「オレが今まで一度でも拒否った事あるか?」 「ううん、ない」 今まではもちろん、これから先だって絶対あり得ない。 くしゃりと髪を撫でてやると、嬉しそうに笑ってくれた。 さて、創の好きな綿あめとりんご飴、どっちから先に買ってやろうかな。

ともだちにシェアしよう!