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君のハートを射てばいい

【創side】 二人で並んで夕暮れの道を歩く。広場にはたくさんの屋台があって、どこから行こうか迷っていたら、継が手を引いてくれた。 甘い匂いが漂うそこは、キラキラ光る水あめの並ぶりんご飴の屋台。うわあ、継ってば、やっぱり綿あめとりんご飴のどっちから先に行こうか迷ってたのわかってたみたい。なんか嬉しいな。 小さくて可愛い姫りんごの飴を一つ買ってくれて、手渡された継の指におれの手を重ねて継の口元に持っていく。もちろん戸惑わずにぺろりと紅い舌を出して舐めると、ニカッと笑ってくれた。 「あま…サンキュ、ほら、落とすなよ?」 「うん、ありがと」 同じように継もおれの口元に差し出してくれるから、おれもぺろっと舐めて、その甘さに頬が緩んだ。やっぱり継と一緒だとものすごく美味しく感じる。 そのままちびちびと舐めながら屋台を見渡して歩き回っていると、射的の景品にふわふわな犬のぬいぐるみがあったのが見えた。 「ね、継、あれ取れる?」 「んー?おー、アレかあ…」 継はこういうのが得意で、ゲームセンターとかのゾンビと戦うやつとかも簡単にクリアしちゃう。でもゾンビが怖いから滅多にやらないけどね。 じっと景品とライフルの威力や距離感を見ていた継が、不意におれの耳元で囁いた。 「あれ取ったら、もちろんご褒美くれんだよな?」 「へっ?えっ⁉︎」 ニヤッと不敵に笑った継が屋台のおじさんからライフルを受け取ると、慣れた手付きでコルクを詰めていく。 後ろからくいっと浴衣の袖を引っ張ると、顔だけこっちに向けて。 「あんなん創を落とすより簡単」 「け、え…」 再び前を見据えた瞬間に、パンッ!という火薬の弾ける音と、何かが地面に落ちた音がした。

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