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今夜のデザート
待ってて、と言われたまま、後ろから創を抱き締めてずっと待ってる。気分はどこぞの駅前にいる犬。
カチャカチャと食器を洗う創が、きゅっと蛇口を締めて、くるりと向き直った。
「…お待たせ」
「ちゃんと待った。いい?」
「ふふ、コーヒーは?」
「いらない」
ぺろりと舐めた唇は、どんなスイーツよりも甘かった。
創がオレの首に両腕を回して、
「抱っこして?」
なんて言ってくるから、オレの崩壊寸前の理性をなんとか保って、創の背中と膝裏に手をやって抱き上げた。
腕の中の創はそりゃあもう可愛い。たまんねぇ。
部屋のドアを開けると、一直線にベッドへ向かい、そっと創を降ろす。
「えへへ、ありがと。こうやってされるの好き」
はにかむ様に笑って創が言う。あーマジで可愛い!
足を伸ばしてベッドに座る創に跨がると、くいっと引き寄せられる。
さあ、この世で一番甘いデザート、いただきます。
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