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朝はまだ来ない

☆☆☆☆☆ …ちゃぷん。 水が跳ねる音と揺蕩う体に意識を向けて、ゆっくりと瞼を持ち上げる。揺れる水面には、じっと自分を見つめながら愛しそうに後ろから抱きしめてくる継の顔が映った。 「ん……おふろ?」 「あー、悪い、ちょっとやり過ぎた」 ばつが悪そうに頬へと唇を寄せる継。そっと重たい腕を継の首に絡めて引き寄せて、唇にキスを強請る。もちろんそれを拒む事はせず、ただ触れるだけのキスを何度も繰り返す。 創の意識が途切れてから、丁寧に浴衣を脱がせて風呂場まで運び、壊れ物を扱うかのように創の体を清めて湯船に沈み込んだ二人。体温とそれほど変わらない温いお湯のおかげか、逆上せる事なく創の意識が戻るまでこうしていた。 「継…のど、渇いた」 「ん、出る?」 「…もうちょっと、ぎゅってしてて…」 いまだにとろんとした瞳で見上げてくる創。込み上げてくる愛しさで、継の胸の中はきゅんと締め付けられる。 そんな事も知らずにそこへ顔を埋めて継の匂いを吸い込むと、手のひらを合わせ指を絡めてきて。 「いま、何時くらい…?」 「あー、多分まだ8時とかじゃね?」 「そっか、よかった…」 創はふわりと微笑むと、継の首筋に吸い付いて紅い痕を一つ残す。それを満足そうに確認して、再び継へと体を預けた。 まだ朝が来ないなら、それまで抱き合って眠りたい。 そううっとりと呟いた創を抱いて、二人で部屋へと戻った。

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