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甘やかな腕の中でおやすみ

【創side】 「ありがと、継」 「ん…体、辛くないか?」 「ちょっとだけね。でも大丈夫だよ」 お風呂から出てタオルで包まれながら、継が抱き上げて部屋まで連れてきてくれた。おれをベッドに下ろすと、心配そうに聞いてくるのがなんだか可愛い。 「少し喉痛いかも…」と答えると、待ってろと言い残して部屋を出て行ってしまった。一人残されたベッドはとても大きくて、継がいないのが寂しくてぎゅっとタオルを口元まで引き上げた。 しばらくベッドの上でもぞもぞして、はあ、とため息を零した時、甘い香りが鼻を擽る。口元を覆っていたタオルを退かすと、にっこり笑顔の継がベッドに腰を下ろしたところだった。じっと見上げていると、継がゆっくり抱き起こしてくれた。 「ほら、ピーチティー」 「うわあ、ありがと!」 カラコロと氷の音をさせて差し出されたマグカップ。朝のうちに冷蔵庫で水出ししてたの、飲み頃になったんだ。 こくん、と一口喉を鳴らして嚥下する。ちょうどいい濃さと甘さで、我ながら上手だなあなんて感心してみたり。 隣に座った継が、おれがそれを飲み干すのを待ってマグカップを受け取る。テーブルに置くと、両手を広げておれをすっぽり抱きしめてベッドへ二人でなだれ込むと、さらさらと髪を梳いてくれて。 継の胸に擦り寄る。とくとくと響く音がおれのと共鳴して、ものすごく心地いいなあ。 うっとりと目を閉じて流れるそのリズムに身を任せる。ふわふわとした感覚に襲われたけど、継がちゅ、と触れるだけのキスをしてくれたのはわかる。 「ほら、今日はもう寝んだろ?」 「ん…おや、す、み…」 ずっとこのままでいたいな。 そう想いながら、揺れる意識を手放した。

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