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消えなくて良かったのに
大人の事情により、ちょっと今回の時間は戻ります(*´꒳`*)
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【創side】
夏休みも半分以上過ぎて、あと二週間もしたら学校が始まる。
今日も継は部活に行っていて、おれは一人で留守番。今日に限って林先生が会議らしく、吹奏楽部はお休み。
継がいないとつまんない。寂しくてベッドでごろごろしても、ごろごろ出来るくらい広いベッドにまた寂しい気持ちが募る。
はあ、早く帰って来ないかな…
窓から見える太陽が、なんだか無駄に張り切ってるみたいで。その元気を分けてもらうために、庭の花に水をやるため外へ出た。
しっかりと太陽を追いかけるヒマワリは、おれより背の高いものもある。ホースを伸ばして庭全体に水をまくと、綺麗な虹ができて、ちょっとだけ幸せな気持ちになった。
でも継と一緒に見れたら、もっと嬉しいんだろうな。
そう考えると、やっぱり寂しくて。
太陽の力なんかじゃおれの継を好きな気持ちを補えなかったみたい。
はあ、とため息を零した時、じょぼじょぼと出しっ放しだった水が足元に溜まっていたのに気付いて、慌てて水を止めに走った。けど、泥水が跳ねた足はすっかり汚れてしまっていたので、今度はおれに水をかける。
ハーフパンツの裾を限界まで捲って、縁側に腰掛ける。サンダルを脱いで足元から水をかけて汚れを擦ると、ざらりとした砂の感触がした。
冷たくて気持ちいいなあ…
膝上まで水をかけると、太腿の内側に目が行った。
あ、ない………
おれが継のものだっていうしるしを、継が付けてくれたのに。時間が経ったからか消えてしまっていた。
他のところにも付いてるけど、こうやって見えなくなるまでずっと見ていたい。…見えなくなるのはイヤだなあ。
継が帰って来たら、もう一度付けてもらお。そう考えてホースをしまうと、大好きな声が聞こえてきた。
「創、ただいまっ!」
継がおれにくれるもの全部、ずっと残しておきたいから。
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