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一口ちょうだい

☆☆☆☆☆ 二人揃っての部活帰り、いつも立ち寄る近所のスーパーで買い物をする。それほど大きくもない店は、二人が子供の頃からお使いに通っていたため、今では店員とも顔見知りだ。特に夕方に制服姿で野菜売り場を真剣な顔で目利きする創は、売り場のお姉さん方にも評判が良い。 今日もどのキャベツにするか手に取って見繕う後ろで、継が創に強請っていた。 「なあなあ、アイス買っていい?」 「えー?こないだ箱の買ったばっかだよ?」 「もう食っちゃった」 「まったくもう、しょうがないなあ」 苦笑しながら背中に覆いかぶさる継の髪をくしゃりと撫でて、継が差し出すカゴにキャベツを放り込むと、「でもアイスは最後に買うからね?」とその他の食材を選ぶ。 今日の夕飯は丸ごとキャベツスープにするんだとにこにこ笑顔で野菜を手に取り、どれがいいのかじっと見つめて選ぶのを、『待て』をされた継が楽しそうに眺めていた。 「こんなもんかなあ?」と呟く創の手を引いて冷凍ショーケースの前まで行くと、嬉々としてアイスを選ぶ継。 「あっ、創!ほら、桃のかき氷だってよ!」 「わ、ほんとだ。そんなのあるんだ〜、珍しいね」 じゃあこれにしよう、と差し出されたカップのかき氷をカゴに入れ、継は夏といえば!という定番のスイカ味のアイスを選んでレジに向かった。 さっさと会計を済ませて家まで並んで歩く。当然のように継が創から袋を奪い取り、その空いた手を握って。 アイスが溶けるから早く帰らなければいけないのに、いつまでもこうして歩いていたいのは、どちらも同じ気持ちかもしれない。 あっという間に着いた家。リビングのエアコンを入れた継がキッチンへ走って行くと、食材を冷蔵庫に入れていた創がおかしそうに笑う。 「ちゃんと手ぇ洗ったの?」 「ん、ほら」 創に向かって手のひらをぱっと開いて見せる継に満足そうに頷くと、買ってきたアイスを手渡した。 「ほんとだ。じゃあすぐ行くから、おれのも出しといてね?」 「わかった!」 まるで子供のようにばたばたと走って行く継の後ろ姿を見送りながら、残りの食材を創が冷蔵庫に入れていく。 ぱたん、と冷蔵庫を閉めると、継の待つリビングへ向かった。
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