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【リクエスト】焼けるほど愛してる
【継side】
今日は吹奏楽部の練習は休み。バスケ部はといえば、基礎トレの日だった。
筋トレは体育館でやるんだけど、基礎トレはまあランニングが主で、グラウンドのトラックや学校の外周なんかをひたすら走る。たまに陸上部と一緒にやる事もあるから、練習内容としては本格的だぞ。
冬場は体が暖まっていいんだけど、やっぱ夏はキツい。
早く創に癒してもらお。
…って、そうだ、今日は…
「創っ!」
「おかえり、継」
ふわりと笑ってタオルで頭から垂れる汗を拭いてくれる創。いつもなら家で待たせてるんだけど、今日は違った。
遡ること昨日の夕方、夕飯食べて天気予報を見ていた時だった。この辺りはどうやら暑さは一旦収まって、曇り空が広がるとなんだか怪しげな着ぐるみとおっさん予報士が言っている。
それを見た創が、「日陰なら涼しいって来原さんも言ってるし、一緒に行っちゃダメ?」なんて首を傾げて言ってきた。創お気に入りの着ぐるみ(空治郎)と気象予報士のおっさん(来原さん)。こいつらのおかげで可愛くおねだりする創が見れたけど、創が熱中症にでもなったらテレビ局にクレームの電話してやる。
「創、暑いだろ?ほら、日陰入れって!」
「ん、大丈夫。はい、飲む?」
持ってきていたスポーツドリンクを差し出してくる創を思わずぎゅっと抱きしめようとした時、自分のシャツが汗でびっしょりなのに気付いた。広げた両手を下ろし、創の頭をわしわし撫でる。
で、気付く。
なんか、創のほっぺた赤くね?
じっと創の目を見つめ続けると、ふいに創の視線が逸らされた。
……何かあんな、これ。
「創…今なら優しくするけど?」
「あっ、いたいたお兄ちゃん!」
くいっと創の細い顎を取ってこちらに向けた時、後ろから声が聞こえて振り返ると、同じクラスの女子が走ってきた。
えっと、長谷川だったかな?確か陸上部のマネージャーか何かだ。
「あっ、継くんいるならちょうどいいか。はい、これ後で塗ってあげてね」
「ん?何コレ」
「お兄ちゃんてば継くん戻ってくるの待ちきれなかったみたいで、ずっと向こうまで出て待ってたの」
「…んで?」
「で、聞いたら日焼け止め塗ってないって言うじゃん?こんなキレイな肌が日に焼けるとか、継くんブチ切れると思って」
けらけら笑いながら渡されたのは、小さなボトルと、なんかふわふわした綿みたいなやつが入った箱。ああ、よく母さんが顔に何か塗る時とかに使ってた綿だ。
「日焼け後に塗る化粧水だから、早めに塗ってあげてね」と言い残して、長谷川はグラウンドへ出て行った。
とりあえず、コレを一刻も早く創に塗ってやって、お仕置きは帰ってからだな。
創の手を引いて体育館の方へ戻ると、風通しがいい日陰を選んで腰を下ろした。壁に寄りかかって胡坐をかくと、創が目の前に立ったままでぼそぼそと喋り出す。
「継、あの……ごめん、早く継の顔見たかったんだもん」
「…はあ、別に怒ってねえよ。ほら、こっちこいって」
「…ぎゅってしてくれる?」
「ん、ほら早く。オレもぎゅーってしたい」
嬉しそうに笑った創が、ぽんぽんと叩いた脚に素直に乗って、今度こそ広げた両手に創が収まる。
力いっぱいに、でも苦しくないように抱きしめると、創の甘くていい匂いがした。
頭を撫でられる感触にはっと気付いて体を離し、さっき長谷川からもらった液体が入ったボトルの説明を読む。なるほど、日焼け後のヒリヒリしたのとか熱い感じを抑えてくれんのか。そうとわかれば早く塗ってやんなきゃな。
ボトルをよく振って蓋を開けて、ふわふわの綿にたっぷり染み込ませる。
「ほら、こっち向いて」
「…キス、してくれないの?」
「ばーか、このままここで押し倒されてもいいのか?」
火照った体の創にちゅーなんかしたら、抑えられるわけないだろ?ばっちり自信あるし。
白い綿を創の鼻先にちょん、と触れさせると、冷たかったのか「ひあっ⁉︎」と肩をすくめてぎゅっと目を閉じる姿が可愛い。化粧水をひたひたと頬にも塗ってやって、首筋、鎖骨、腕としっかり塗り込む。
おとなしく膝の上でされるがままになってる創なんて、ヤッてる時以外は見れないから、ちょっと貴重かも。
「重ね塗りすると効果的です、だってよ」
「ん…」
膝の上に乗ってるせいで見下ろしてくる創の視線に気付かないフリをしながら、再び頬に化粧水を塗っていく。ああもう、そんな目で見んなよ!
いつもこの態勢で下から突き上げて揺さぶると、決まって創から舌を絡めて深く求めてくる。ちょっとキツく吸い上げてやればきゅうきゅうに締め付けてきて、涙の滲んだ目にオレを映すんだ。
「けえ……」
「…っ!ぬああああっ、せっかく我慢してんのにっ!」
するりと頬を撫でられて、熱い吐息と共に囁かれた瞬間に、あっけなく我慢の限界までメーターが上がる。
ああでもダメだ、マジで止められる自信ない。早く家帰りたい。
ぐっとボトルを握りしめて、かさかさに乾燥してしまった創の唇をぺろりと舐めてから、そこにちゅっと触れる。そんだけ。すぐ離れて創の唇を手のひらで塞いだ。
「ダメっ!するならもっとしたいから、今はこんで終わり!その代わり、明日は立てないくらい腰ガックガクにしてやるからなっ!」
「ん、おれももっとしたいから、今日は寄り道しないで早く帰ろ?」
やんわりとオレの手のひらを外した創が、指先に唇を寄せて笑ってくれた。
びちょびちょに湿らせた綿を押し付けるように創の肌に化粧水を塗り込む。4回目の重ね塗りくらいで、火照っていた創の肌から少し熱が引いた感じがした。
こんだけ塗ったんだ、日焼けしたとこがヒリヒリ痛くてオレに集中出来ないとか、冗談でも言わせないからな?
「お前らさ、フツーに座れよ」
「これが普通だヘタレ」
オレを呼びに来た大介が呆れたように呟くのにそう返して創を膝から下ろすと、一秒でも早く帰るためにダッシュで集合場所に向かった。
*****
継は日焼けしたら黒くなるけど、創たんは赤くなってヒリヒリするだけで黒くなりません。日焼け損です(笑)
もう継ってば、座るだけで創たんの痴態を思い出しちゃうんだから(笑)
甲斐甲斐しくお世話…できてないですが、リクエストいただいた日焼け後の双子でしたー。
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