80 / 507

同じ釜の飯を食う

【ジャスティンside】 「ジャスティンはこの部屋使ってね」 「サンクス」 学校の帰りに買い物してきた。今日はオレの歓迎パーティをしてくれるらしい。とはいえ、明日も学校だからあまり盛大に盛り上がる事はしないが。 荷物を部屋に置いて着替えようとしたところで、重大な問題に気付いてしまった。出発する直前スポーツバッグに適当に詰め込んだのは、ジーンズとシャツ一枚。 「ソウ、ケイ、服がない…」 「え、うそ⁉︎」 「マジかよ…」 キッチンにいたケイがはあとため息を零して、こちらに向かって手招きする。素直について行くと、そこは双子の部屋らしかった。 部屋の中には机が二つ並んでいた。綺麗に整頓してあるのがソウ、ぐちゃぐちゃに物が置いてあるのがケイだろう。 壁際にはアップライドのピアノ。ああ、まだ続けているのか。ソウのピアノの腕前は、プロのピアニストとしてやっていけるほどだ。 そして大きなベッドの上には枕が二つ…この双子、本当にいつも一緒なんだな。 「とりあえずコレ着とけ。あとは明日にでも買って来いよ」 「ああ、そうする」 クローゼットをがさごそ漁っていたケイが、スウェットの上下を出してくれた。 丈が少し短い気がするけれど、そんな事は気にしない。着られればいい。 「じゃあ改めて。一ヶ月よろしくね?」 「まあ頑張れよ」 「サンクス!」 テーブルに並べられたピザを切り分けてもらい、グラスにはコーラがたっぷり注がれた。 週末にはスシを食べたいと言ったらどうするだろうか? 「あーのさ、ジャスティン?」 「ん?」 チキンをもぐもぐしながらケイがこっちを見てくる。ああ、ハムスターみたいだ。 ソウも横でちらちら見つめてくるのがcuteだな。 「お前さ、大介の事マジなの?」 「ああ、そうだが。何か問題でも?」 「いや、ノープロブレムだけどさ…」 「本当に?遠いよ?きっと辛いよ?」 「二人だってアメリカ来るじゃないか」 二人とも心配してくれるようだ。何年経っても変わらない。 けど、オレだって何年も想い続けて、やっと会えたんだ。今更何を言われたって変わらない。 「距離なんてすぐ埋まるさ」 そう、そんなの感じさせないくらい満たしてやる自信があるんだ。

ともだちにシェアしよう!