461 / 507
準備期間
うん、うちのクラスの手芸部マジすげえわ。
「ああーん、やっぱり似合うーっ!」
「お兄ちゃんこのブーツはいて」
「メイクもしちゃおっ!」
「えっ、あの、けえ〜〜……」
仮縫いで試着した創は、もうめちゃくちゃ可愛かった。
デザインの段階であらかじめ頼んでおいたから肌の露出はほとんど無いけど、でもだからこそ着ている本人の質の高さが出る。だってもともとがすげえ可愛いもん、当然だろ。
女子の着せ替え人形みたいになってる創。化粧されて腰くらいまである黒髪のヅラをかぶせられて、球技大会の時とはまた違う、綺麗な感じになっていた。
「ほい、完成!」
「やっぱ元がいいから弄りがいあるわ〜」
ほんのりほっぺた紅くて、目がぱっちりしてて、唇がなんだかツヤツヤしてる。いますぐ食いつきたいくらい。
膝下まであるスカートを気にしながら、じっとこっちを見つめてくる創。一歩足を進めるけど、慣れない高さのあるブーツが歩きにくいのか、なんかフラフラしてる。
「ぅわっ!」
「っぶね……!」
よろめいた瞬間に走り出して、ギリギリのところで受け止めた。うわ、やべえ、超いい匂いする。
腕の中でごそごそ動きながら、下から見上げてきてふわりと笑ってくれた。
「ありがと、継」
「ん……ちゅーしたい」
「グロス取れちゃうからダメに決まってんだろ!」
「はいはい離れて〜」
創に化粧をした南條と白崎が、オレの創をべりっと引き剥がすように離す。くそっ、せっかくの可愛い創がっ!
手芸部のやつらが衣装をチェックして、サイズの確認をしてる間、創の写真を撮っておいた。
ともだちにシェアしよう!