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準備期間

【継side】 「ケーキはアラクにお願いしてます」 アラクってのは地元で人気のケーキ屋で、創のお気に入り。夏祭りの景品に出したりするように、地元密着の店だ。 そんなアラクのケーキを文化祭で出すとわかってからは、もう創はずっとにこにこしてる。超可愛い。 帰宅部を中心に教室の飾り付けとか看板とか作ってるけど、クラスのホームルームの時間は全員で協力する。うちのクラスは担任がイベント好きだから、そこら辺のチームワークはばっちりだ。 「赤いペンキもう無くなりそうだよー」 「あー、そこ塗り直して!」 美術部の作品とも言えるような立派な看板と、華道部の可愛らしいアレンジがされた花瓶の数々が教室を明るくしていく。 前日の放課後ともなれば、そこはもう立派な喫茶店だった。 「お待たせしました!3人分の衣装できたよー!」 手芸部の奴らが目の下にクマを作ってまで縫い上げた衣装は、無駄にひらひらしてる部分が多い。でもこれ、創が着たら超可愛いんだよな……! オレと創、そして大介に手渡されたそれをロッカールームで着替える。別にオレと大介なら教室で着替えてもいいけどさ、創の肌を他の奴に見せるとかありえないし。オレ以外になんて見せてたまるかっつーの。 シャツとジャケットを羽織り、ネクタイを締める。渡された白い手袋をして創を振り返ると、ぼーっとこっちを見ていた創と目が合った。 「ん、どした?」 「えっ?あ、ううん、カッコいいなあって思って」 ふわりときれいに笑ってくれた創が、すげえ嬉しい事を言ってくれて。あーヤバい、勃ちそう。 そんな創と大介は、慣れない衣装に四苦八苦していた。創はともかく大介はこういうの初めてだし、どうやって着るのかすら分かってない。 なんとか袖を通した創が手伝ってやりながら、先に大介の着替えを済ませる。うわあ、笑える。 「ふふっ、大ちゃん可愛いよ」 「最悪だ……」 「なんで俺が……」とぶつくさ言ってる大介を、外で待機してる手芸部の奴らに頭に付けるのとかリボンとかの小物と一緒に引き渡す。こんなん渡されたって出来るか! ロッカールームに残ったのは、オレと創。 あー、なんだよこの可愛さプライスレス!!!! 「継、チャック後ろにあるから上げてくれる?」 「ん?おう、わかった」 くるりと後ろを向いて背中を見せた創。衣装はワンピース?っていうやつらしく、上から下まで繋がってる。頭からすっぽり被って袖を通したら、背中のチャックを上げればいいだけみたいだ。 まあこんな服なら腹とか腰とか見えたりしないから安心だからいいけどさ。でもオレもイタズラ出来ないじゃんかよ手芸部!!!!衣装合わせの時は手芸部の着せ替え人形になってたから気付かなかったけど… ジジッ……とゆっくり腰のあたりから縫い付けられてるチャックで背中を締めてやりながら、晒された肩甲骨に吸い付いてみた。 「ひあっ!?なに!」 「オレのって印付けといた」 「もう……しょうがないなあ」 項のあたりまでしっかりとチャックを上げて、苦笑する創が振り返る。そのまま腕の中に閉じ込めたいけど、そんな事したらそれで済まなくなるのが分かりきってるから、ここはなんとか鎮まれオレ! 創を椅子に座らせてその前に跪く。上靴を脱がせ、白い靴下を履かせる。太腿まであるそれをスカートの中に手を入れて上げていけば、擽ったいみたいで創が身じろいだ。 いつも思うけど、創の太腿はすべすべしてて、手のひらが吸い付くみたいに気持ちい。 「んっ、継……ダメ……ね?」 「ちぇーっ、じゃあ帰ったらいい?」 つい手のひらを這わせて撫で上げると、きゅっとスカートを握った創が切なげに、でも甘い吐息を吐く。 あーもう、早く帰りたい!!!!
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