95 / 507
暑いのは夏のせい
【大介side】
帰り道、双子は寄り添って仲良く前を歩いてる。相変わらずのラブラブっぷりで、後ろを歩く俺らの目のやり場を考えてほしい。
隣を歩くデカい男にちらりと目をやれば、服屋の紙袋片手にじっと前を見つめていた。
渡すなら、今、かな…
カバンの中に手を入れて、小さな紙袋を掴む。けど、なかなか取り出せない。というか、決心がつかない。
そりゃそうだ、いきなりこんなもん渡す理由がない。だって目に付いたから、似合いそうだったから、そんな理由で男が男にプレゼントなんかするか?なんだよそれ、ありえねえわ。
「…ケ、ダイスケ?」
「うぇあっ??な、なんだよ!」
「どうした?難しい顔でブツブツ言って…」
「なっ、なんでも…うわっ??」
どんだけ動揺してんだ俺、何もないとこでコケるとか、俺いつからドジっ子属性になったんだよ…
ほら、おかげでカバンから手が出て…出て………
「ん?」
「あ…………………」
「何、コレ?」
「………………いる?」
「いる。なんだ?」
結果的に渡せた、けど…
うん、どうしよう、なんで買ったんだ俺…
「…リストバンド?」
「さっ、さっきの店でっ!おっ、お前に似合いそうだったからっ!」
あーあ、言っちゃった。てか、言えた。
当のジャスティンは、嬉しそうにそれを手首にはめて、あろうことかそれに、きっ、キスなんかしてやがる!
「アリガト。大事にする」
「お、おう…」
なんだかすげー暑いのは、きっと夏のせいだ。
ロード中
ともだちにシェアしよう!