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暑いのは夏のせい

【大介side】 帰り道、双子は寄り添って仲良く前を歩いてる。相変わらずのラブラブっぷりで、後ろを歩く俺らの目のやり場を考えてほしい。 隣を歩くデカい男にちらりと目をやれば、服屋の紙袋片手にじっと前を見つめていた。 渡すなら、今、かな… カバンの中に手を入れて、小さな紙袋を掴む。けど、なかなか取り出せない。というか、決心がつかない。 そりゃそうだ、いきなりこんなもん渡す理由がない。だって目に付いたから、似合いそうだったから、そんな理由で男が男にプレゼントなんかするか?なんだよそれ、ありえねえわ。 「…ケ、ダイスケ?」 「うぇあっ??な、なんだよ!」 「どうした?難しい顔でブツブツ言って…」 「なっ、なんでも…うわっ??」 どんだけ動揺してんだ俺、何もないとこでコケるとか、俺いつからドジっ子属性になったんだよ… ほら、おかげでカバンから手が出て…出て……… 「ん?」 「あ…………………」 「何、コレ?」 「………………いる?」 「いる。なんだ?」 結果的に渡せた、けど… うん、どうしよう、なんで買ったんだ俺… 「…リストバンド?」 「さっ、さっきの店でっ!おっ、お前に似合いそうだったからっ!」 あーあ、言っちゃった。てか、言えた。 当のジャスティンは、嬉しそうにそれを手首にはめて、あろうことかそれに、きっ、キスなんかしてやがる! 「アリガト。大事にする」 「お、おう…」 なんだかすげー暑いのは、きっと夏のせいだ。

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