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暑いのは夏のせい…じゃない
【大介side】
「じゃなー」
「また明日ね、大ちゃん」
双子の家の前に着くと、すぐに中に入っていく。
もちろんここはジャスティンのホームステイ先だから、ここでジャスティンとまたお別れ。なんだけど…なんとなく、うん、なんとなくまだ行ってほしくないっていうか、色々話したいとか思ったりする俺は変なんだ。
「あの、ダイスケ…?」
「え…っ!あっの、そのっ、ワリ…」
気が付けばジャスティンの服の裾を掴んでいたとか、どんな少女漫画だよ!
あ、今こいつ笑った。てゆーか笑われた。すげー恥ずかしいんだけど。
「これ、受け取ってくれるか?」
渡されたのはノートの切れ端みたいな紙切れ。開いてみれば、何かの数字の羅列とアルファベット。
え、これって…?
「オレのナンバー。日本でも向こうでも使えるから、いつでも連絡してほしい」
「…うん」
「じゃあ、待ってる」
「…うん」
また髪をくしゃくしゃと撫でられて、そのままジャスティンの顔が近付いてきたのと同時に、額に温かいものが触れた。
にこりと微笑んだジャスティンが手を振るのをぼーっと眺め、自分の家の方へと歩き出す。
額に手を当ててみる。かああっと顔が熱くなって、心臓がバクバクしてきた。渡されたメモも、火が着いたみたいに熱い。
ああ、すげー暑い…
夏、だしな…うん、そうだ。
ああ、気付いちゃったよ、俺。
暑いのは夏のせいじゃなかったんだな…
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