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積木祭

午後からは吹奏楽部の演奏がある。打ち合わせとかもあるし、もうちょいしたら創を音楽室に連れてかなきゃいけない。 本当はまだまだこの超絶可愛い創を堪能したいんだけど、まあ正木の事だし、この衣装をくれるに違いないと思う。今日は疲れてるだろうから、週末はこれを着た創を足腰立たなくなるくらい愛してやろう。それに、吹奏楽部の演奏する時にもまた着替えるんだしな。うわあ、今日の創はもういつも以上に天使すぎる。 「んー、可愛い…」 「継もね、カッコいいよ?」 「へへっ、サンキュ」 首筋に顔を埋めてスリスリしてくる創の体を抱きしめる。そこら辺の女子よりも柔らかいんじゃねえの?ってくらい柔らかくて暖かくていい匂い。 ウィッグだとは分かってるけど、そこに唇を押し付けてみる。ぱっと顔を上げた創の額に、頬に、ゆっくりと同じことをしてやれば、ふわりと笑ってくれた。 「んふふ」 「どした?なんかえらくご機嫌じゃん?」 細められた瞳と三日月のように弧を描く唇が印象的な、幸せそうな創の笑顔が好きだ。ずっと見ていられるし、見ていたい。 そんなご機嫌な創の髪を撫でていたら、空気を読まない正木がやって来た。 「はいはーい、お取込み中失礼しますよー」 「分かってんなら来んなよ」 「あら、あたしに向かってそんなクチきいていいの?」 ニヤリと不敵に笑った正木がテーブルの上に置いたのは、湯気の立つオムライス。12時から50食限定で販売するランチメニューで、もちろんメイド役の女子がケチャップで何かしら描いてくれるってやつ。 ほい、と正木から創に渡されたケチャップの容器。「お邪魔しました〜」と去って行く正木の後ろ姿を横目に、窺うように見上げてくる創の鼻先にちゅっと唇を寄せると、嬉々として何かを書き始めた。 真剣にオムライスに向かう創の項を後ろからじっと眺める。あー、早く食いたい。え、もちろん創を。 「……できたっ!」 ぱっと顔を上げてこっちを振り返る創が可愛くてたまらない。なんでこんな可愛いんだよもう! 黄色いオムライスに描かれた真っ赤なハート。端の方をそっとスプーンで掬って、オレの口元に添えられる。躊躇なく口を開けば、嬉しそうに食わせてくれた。 「美味しい?」 「ん…」 創が作ってくれたやつの方が当然ダントツに美味いんだけど、創が食わせてくれるだけで同じくらい美味く感じる。あー、オレってほんと単純。 その後もしばらくオレにばかり食わせてくるから、創にも食わせてやりたくてスプーンを奪おうとしたら、「ケーキでお腹いっぱいになっちゃった」と肩をすくめるのがまた可愛くて。 唇に付いたケチャップを創の指が拭って、紅い舌がそれを舐め取るのを間近に見て、なんかもう色んな物が溢れそうになった。
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