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擦り切れた指先

【大介side】 くいっと引き寄せられて、あっけなくジャスティンに倒れ掛かってしまった。 「あ、悪い…」 「いや…」 後ろで支えてくれたジャスティンが俺の態勢を戻して、くしゃくしゃと髪を撫でる。 「それ、癖だなお前」 「あー、いや、なんとなく?」 バツの悪そうな顔で俺の髪から手を離す時に、その擦り切れた指先が目に入った。 そんなになるほど練習しているという証拠。あんなにずばずばシュートが決まるのも当然のはずだ。 今だってかなり体重かけて倒れ込んでたのに、まったくふらつく感じもしないで支えてくれた。筋トレだって毎日欠かさないんだろうな。回された腕に着く無駄のない筋肉に、つい見惚れてしまうくらい。 さっきみたいに後ろから抱き締められるように支えらるのも、髪を撫でられるのも、イヤじゃなかった。 むしろその逆で、もっと触れてほしかった。 そんな事本人に言ったらきっと調子に乗るだろうから、絶対言ってやらないけど。

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