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紅色の爪先

【大介side】 本格的にシュート練習を始めると、ジャスティンはスパルタだった。 「ダッシュ!」 「くっそ…!」 アウトサイドからのシュート。入ればジャスティンからのスローインを外で受け取り、外でシュート。反対にそれが外れれば、コートを縦にダッシュで往復して、更にボールを外に投げられ、そこからシュート。 当然やればやるほど体力を消耗する。 「疲れた時にこそ軸を意識するんだ」 ジャスティンが言う事はわかる。でも出来ない。悔しい。 俺ってこんな体力なかったっけ?なんでこんな入らないんだ? たった10分そこそこ動いただけなのに、ワンゲーム終わったみたいに疲れた。 梅ちゃんがフィードバックがてら休憩してこいと、苦笑いしながら声をかけてくれたおかげで、地獄とも言えるようなシュート練習から解放された。 こってりと絞られてもう立てない俺の腕をジャスティンの肩にかけられて、部室へと向かう。 頬にジャスティンの細い髪が当たってくすぐったい。つーか顔近い。 「大丈夫か?」 「そう見えるか?」 「はは、大丈夫そうだな」 「お前の目腐ってんな」 壁にぴったりとくっくいて床に座る。ひんやりしていて気持ちい。火照った体と心が落ち着き、目の前にいるジャスティンを見上げた。 「いつもあんな練習してんの?」 「ああ、そのうち慣れるさ」 ドリンクを手渡してくれるから、疲れ過ぎて震える腕をどうにか伸ばして受け取る。いや、受け取ろうとした。 不意にその手首を掴まれて、じっと指先を見てくる。 「Sorry、痛かったよな…」 「え………あ、つめ」 爪割れてる。そう口にする前に、紅い爪先がジャスティンの口元へ運ばれてぺろりと舐められるのを、まるでスローモーションのように見ていた。

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