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見つけていく場所
2学期に入ってすぐの文化祭も終わり、そろそろ中間考査が始まる。それが終われば、すぐに保護者を交えての三者面談が行われる。
こんな勉強がしたい!あの会社で働きたい!という明確な答えの出ない生徒の方が多い高校二年生が、あと1年足らずで将来を決めなければいけないそんな季節。
「…創、ちょっとだけ外出ねえ?」
ぱたんと閉じたノートの上にシャーペンを放り投げた継に苦笑しつつも、同じように教科書を閉じる創。丁寧にそれらを重ねて机の引き出しに仕舞うと、ふわりとその肩に上着が掛けられる。
秋の始め、窓の外では細かく水音が聞こえてくる。熱のこもったアスファルトがゆっくりと冷やされて、だんだんと気温が下がっていく。意識的に聴かないようにしていた蝉の鳴き声が、いつの間にか鈴の音のようになって響いていた。
見つけていく場所
prologue.
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