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【番外編】TRICK or TRICK!

TRICK or TRICK! 【創side】 金曜の夜、いつものように二人で夕飯の後片付けをして、休みの前の日だからちょっと夜更かししようとテレビで映画を観て、もうそろそろ日付けも変わろうかという頃。 唐突に継がにんまりと笑った。 「創、trick or trick!」 「…え?」 「だからー、trick or trickだってば」 うーん、なんだろう、たまに継が分からない。 それは例えばこんな時。 「今日がハロウィンなのは知ってるよ。昼間お菓子あげたでしょ?」 「違くて!trick or trickだってば!」 「ごめん、ちょっと分かりません」 「分かんねえの?」 「わかんない……やだ、わかんないよぉ」 やだ、継の事を分かってあげられない自分がいやだ。 こういう時、双子であっても違う人間なんだっていうのを実感する。継の一番の理解者はおれなのに、継が分からないなんていやだ。 きゅっとパジャマの袖口を握りしめて、一気に熱くなってくる瞳を閉じた瞬間、身体が宙に浮いた。 「うわっ⁉︎なに?」 「ハロウィン、まだ終わってねえよ」 おれを軽々と抱き上げた継が、部屋の灯りを消してベッドに向かう。 時刻は23時25分。まだギリギリ今日が残ってる。 ああ、やっとわかった。ベッドに投げ出されてから気付いたけど、ちょっと遅かったかも。 「お菓子くれてもイタズラしてやる」 どれだけ食べてもお腹いっぱいにならない狼男が、唇に甘く噛み付いてきた。 ハッピーハロウィン!
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