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見つけていく場所

二人で部屋に戻って、ベッドに仰向けで倒れ込む。すぐに腰の辺りに腰掛けた創を引き寄せて、思いっきりぎゅってした。 分かんねえ、オレ、どうしたらいいんだろ? 創のさらさらとした髪に指を入れて、暖かい体温を感じる。生まれる前から、ここにあったし、ここにいた。離れるなんてこと、考えもしなかった。そんなんあり得ないし。 「…継は、どうしたいの?」 「分かんねえよ…今がすげえ楽しくて、そんな事考えてなかった」 「ふふっ、継らしいね」 思えば、高校に入ってからは楽しい事だらけだった。バスケは本格的に出来るし、創はいるし、クラスメイトにも恵まれたし、創は可愛いし、担任も良い先生だし、創は可愛いし。 こんな楽しい高校生活が、あと1年半で終わるのか。 「…もっと高校生でいたかったかも」 うん、楽しかった。色んな経験もしたし。テストはめんどくさかったけど、創と一緒に頑張った。球技大会とか文化祭だって色々あったけど、それなりにクラスでまとまったし。 そう考えると、オレらのクラスで一番大変だったのって菅原先生じゃね?でも、一番楽しんで盛り上がってたのも菅原先生だよな。 高校卒業して何年も経つのに、いまだに学校行事の全てに参加してるって、なんか羨ましい。 …………あ、そうか。 「…なあ、創」 「なあに?」 オレさ、と言い掛けたところで、こつんと額が触れた。 目の前の創が、ふわりと微笑んでくれるから。 「…大丈夫、継ならできるよ」
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