昔から眠り姫を起こすのは王子様のキスと決まっている。 子供の頃は、寝ている相手にキスするなんてフェアじゃない、なんて思いながら童話を聞いていた。でも、今ならわかる。 寝顔が、とても綺麗だから。 触れたくて、その声を聴きたくて仕方がない。 フェアじゃない、なんて思いながらも、隣に横になってみた。そうしたらやっぱり触れたくなって、柔らかな頬に指先で触れてみる。あ、笑った……気がする。 調子に乗って、そのまま抱き寄せてみた。腕の中のダイスケは、ぴったりとオレの胸にフィットするように擦り寄ってくる。 ああもう、早く気付いてほしいのに、ずっとこのままがいいだなんて反対のことを思う。 「起きて、ダイスケ…」 早くその瞳にオレを映して、名前を呼んで。