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共に在るって誓ったんだ
【継side】
ウィンターカップへの出場権がないオレらは、その次の目標として新人戦に向けて動き出していた。
新体制となった今、部長に田口、ゲームキャプテンに大介がなり、今まで以上に練習に励んでる。もちろん、オレだって。
今年はあと一歩のところでウィンターカップには出られなかったけど、うちの学校はそれなりに強い。だからよけいに、今年出場できないのが悔しかった。
ジャスティンがいなくなってからも、練習にはあいつのアドバイスが活かされてる。監督である梅ちゃんを唸らせるくらいだから、相当ちゃんとした理論でやってるんだろうな。
「継、頑張ってね?」
「おう、もちろん!」
帰りのHRが終わって、創をギュッとして充電。本当はもっと色々したいけど、早く行かなきゃ大介が怒る。別にあいつが怒った程度なんともないけど、その時間がムダだ。その間に走り込み出来る。
後から創にまた会えるのは分かってる。けど、やっぱり離れるのはイヤだ。
こんなんでこの先別の進路とか、大丈夫なのかオレ…?
そう思いながら教室の中を振り返ると、創がにこにこと手を振ってくれていた。それにぶんぶんと振り返すと、廊下でぐっちょが笑ってた。
「何笑ってんだよぐっちょ…」
「いやあ、相変わらずだと思ってさ」
「どーだ、羨ましいか」
「…………」
「あっ、ちょ、待って待って!聞いてぐっちょ!冷たい目で見ないで!!!!」
ぐっちょこと田口は、小学校以来の友達。この高校は地元に古くからあって、たいていが知り合いだ。ぐっちょだけじゃなく、倉留も戸川も。
中学もこの3人とオレ、それに大介がバスケ部の中心だったから、近くてしかもそこそこ強豪と言われてるこの学校を選んだ。幸いにもそんなに偏差値とか高くなかったから、ヒデキでもなんとかなった。
いつか、このメンバーで必ず優勝トロフィーを掲げるその日まで一緒に頑張るって、中3の夏に涙を流したあの日誓ったんだ。
その傍にはもちろん、創がいてくれる。
創がいれば、オレは何だって出来るから。
「おっし、行くかーぐっちょ!」
「いや、お前待ちだったから」
呆れたように笑うぐっちょと肩を組んで歩き出す。廊下でヒデキとクラが歩いてる後ろ姿が見えて、ぐっちょと顔を見合わせた。
さすがぐっちょ、アイコンタクトでオレの考えが伝わったみたいだ。
組んでいた腕を離してそろそろと後ろから近付き、せーの、と口パクで合図して二人同時に背中に飛び付く。
「おわっ!?」
「ぎゃーっ!苦しい苦しいっ!」
「はははっ、レッツゴー!」
「ちょっ、重いっつーの!」
「筋トレ筋トレ」
クラもヒデキもがっちり体型で、オレやぐっちょが飛び乗っても軽々と背負って歩いて行く。それがなんか悔しかったりするけど…
廊下を騒ぎながら体育館へ向かう。渡り廊下に見覚えのある後ろ姿。
またしてもぐっちょとアイコンタクト。クラとヒデキにも指差してそれを伝えると、ニヤリと笑ったのが見えなくてもわかる。
さっきみたいに後ろからそっと近付いて、オレとぐっちょで大介の両脇を掬い上げた。
「んぎゃーっ!?」
「おーっし、このまま行けー!」
ズルズルと大介を引っ張り上げるオレとぐっちょを背負って走るクラとヒデキ。端から見たらバカやってるように見えるんだろうな。まあ実際そうなんだけど。
でもこれでバランス崩さずに走る二人もすげえな。ぐっちょなんか左腕で大介を抱えてるし。
オレも、負けらんねえ!!!!
ググッと右腕に力を込めて大介を抱え上げながら、早く帰って創抱っこしたいとか思った。
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男子高校生っておバカですよね〜という話です。
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