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マシュマロのようなキスをして

【継side】 あっという間に来週に迫った期末テスト。だから昨日から部活は休み。ついこないだ中間テストだった気がするのに。 ぬあー、体がなまる!動きたい!せっかく新体制で気合い入れてたのに。筋トレだけじゃ物足りないんだよ… 「継、どこ行くの?」 創が夕飯の仕度してる後ろからそっと抱きしめると、にっこり笑って腕の中で向きを変えてこっちを見上げてくる。 頬っぺたを両手で包むようにしてやると、そこにスリスリしてくるのがたまらなく可愛い。 「ん〜、ちょっと走りたい」 「もぉ、テスト勉強は?」 「飽きた」 だって、隣に創がいないから。 創が夕飯作るからって部屋を出た時点でノート閉じたし。 つ、と親指で柔らかそうな唇を撫でてみた。ああ、やっぱ柔らかい。美味そう。食いたい。 ………食っちゃえ。 「ん…けぇ?」 ちゅ、と触れ合わせただけなのに、なんかすげえ甘い。柔らかい。 もっとしてもいいかな?したい。 創の首筋から耳の辺りに手のひらをあてると、ふわりと笑ってくれた。 あーもうマジ可愛い!!!!なんだよもうっ!!!! ぴったりくっつくみたいに腰を引き寄せれば、キュッとシャツを握ってくる。これを素でやってくるんだから、オレの理性なんか一瞬で吹っ飛ぶ。 「継…はやく、ごはん食べちゃお?」 少しだけ頬っぺたを紅くしてそんな可愛い事言ってるけど、裏を返せばさっさと食って部屋に行こうって誘ってるんだ。 そのためには、今はなんとか頑張って我慢して、創のジャマしないようにして、早く夕飯を作る!けどムリ!!!! 火照った顔を見ないように、創を腕の中にぎゅっと閉じ込めた。 「…今一緒にいたら我慢できねえし、やっぱ走ってくる」 「ん…すぐ帰ってくる?」 「おう、ちょっと頭冷やしてくるだけだから」 嘘、頭とちんこ。 そんなオレの葛藤を知ってか知らずか、腕の中でもぞもぞした創が顔だけ上げて、掠めるようにキスしてきた。 「じゃあおれも、頑張ってごはん作っておくね!」 そう言うと、ぱっと離れて再びシンクに向き直る。鼻唄交じりにキャベツ切り始めた。 こうなった創は下手にちょっかい出すと後が怖い。 包丁を置いたタイミング見計らってもう一度だけ後ろからぎゅっと抱きしめて、耳元にそっと囁いた。 「なんか欲しいもんあるか?」 「んっ、継…」 「なに、オレが欲しいの?」 「違くて…マシュマロ、切れちゃったからお願いしていい?」 ああ、いつも創がココアに入れてるやつか。 あんな甘ったるいもの飲んでるから、創も甘いのかもな。 そんな事思いながら触れた創の唇も、マシュマロみたいに柔らかくて甘かった。

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