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並んで歩けることこそが、この上ない幸せ
【大介side】
それから継と創が戻って来て、また園内を歩いて回った。
相変わらずあいつらはじゃれあって手を繋いで歩いてたけど、俺達の間にあった距離は少し縮んだ気がする。
さっきより近くを並んで歩けるのが、なんか嬉しかった。
「あ、あれ入ろうよ!」
「え、無理!」
創が指差したのは、よくあるお化け屋敷。全力で拒否ってる継を引っ張って向かって行った。
ちらりと隣を窺えば、オレ達も行こうか、なんて背中を押される。
触れたそこが暖かくて擽ったかった。
「もうやだっ、創のアホーっ!!!!」
半ベソで出て来たのは継。意外にホラー物とかダメなんだよなあいつ。合宿とか夜に一人でトイレ行けないからって、いつも俺が着いて行くんだ。
ぎゅーっと創にくっついて、頭を撫でられてる。
「ごめんね、こんな本格的なとこだとは思わなくて」
ぜってーウソだ。にやけてるし。
ぽんぽんと背中を叩いて、顔を上げた継の額にキスしてた。
なんだろ、うん、なんていうか、あいつらがやると様になるって言うか、絵になるって言うか。
また隣を見ると、くい、と目元を親指で擦ってくる。
「なに…?」
「いや、ダイスケは泣かないのか?」
「泣くかバカ」
「残念。ハグする口実がなくなった」
ほんとバカだ。
口実なんていらないのに。
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