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約束された別離

背中を撫でてくれる手のひらは、さっきから止まる事はない。 ぐりぐりと肩に額を押し付けながら、隙間がないくらいにぴったりと擦り寄った。 「……夏休み、は、こっちいるんだろ?」 「ああ、バスケ部の練習にも参加させてもらうよ」 「…合宿も?」 「ダイスケが行くなら」 「ん………」 ぽつりぽつりと聞いた事に対して、欲しい答えをくれる。それが嬉しくて、なんだかほっとした。 そっと包み込んでくれる両腕から抜け出さなきゃいけない日までは、こうしていよう。 「あと、クリスマス休暇には戻るから。プレゼントは何がいい?」 「いやまだ半年あるし」 そんな半年後なんて先の話をしてくるけど、そこまでちゃんと考えてくれてるんだな。かなり先だけど。 半年後、なんて、半年も、会えないなんて。 「…お前がいい」 「ん?」 「プレゼント、お前がいい。一本でも早い飛行機で、一秒でも早く帰って来い」 お前が帰って来るのは俺のところだから。 それまでは待っててやるよ。 そう思ったら、少しだけ気持ちが軽くなった。

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