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大好き、それ以外に言える言葉があっただろうか
「…落ち着いた?」
「…ん、へーき」
ぽんぽんと頭を撫でてくれたのを合図に顔をあげれば、掠めるように唇が触れた。
それは、ほんの一瞬。
離れるのも、ほんの一瞬。
だから、もう大丈夫。
大きく息を吸い込んで、暖かなそこから抜け出した。
「ジャスティン…」
「ん、そろそろ行くか?」
立ち上がりかけたその腕を引いて再びベンチにつかせると、そっと左手を取る。
じっと碧い瞳を見つめて、今の気持ちが伝わるように祈りながらゆっくりと引き寄せると、さっき俺がされたみたいにその薬指に口付けた。
こんな時、創ならもうちょっと気の利いた事だって言えるんだろうか。
「…だいすき、だ」
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