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他の男
【継side】
「ねえねえ、あの二人大丈夫かなあ?」
二人と別行動をしようと提案したのはもちろんオレ。
だってせっかく遊園地なんかに来たんだし、思いっきり創とデートしたい。
なのに、さっきからずっとこんな調子だ。
「平気じゃね?あ、クレープ売ってる」
「食べる!大ちゃんもう気分転換できたかな?」
少し気を逸らしても、すぐにまた大ちゃん大ちゃん。
正直、かなり面白くない。てゆーかムカつく。
オレの創なのに、創の頭の中は大介の事でいっぱいなんだ。
「平気じゃね?桃のでいいよな?」
「うん!あ、大ちゃん達にも買ってく?」
ああもう、イライラする。
「……なあ、いい加減に終わりにしろよ」
創の手首を掴んでこちらを向かせると、きょとんとした顔で振り返った。くそっ、可愛いじゃんかよ!
でもここで引いちゃダメだ。頑張れオレ!
「え、なにが?」
「オレといるのに、さっきから大介の話しばっかじゃん」
「あれ、ヤキモチ?」
「おう、わりいか」
「ううん、全然」
掴んだ手に指を絡められて、そのまま引き寄せられる。腕の中に収まってくるかのように抱きついてきたので、もちろんしっかり受け止めた。
じっと上目遣いで見上げてくる。可愛い。やばい。ちゅーしたい。
「ね、継、キスして?」
「しょうがねえなあ」
しょうがないのはオレの方。
きっとバレバレなんだろうな。
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