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二人だけの世界

気が付けば日も傾きかけていて、空がオレンジから紺に変わろうとしていた。 並んで歩く観覧車までの道のりが、とても長くて、でも着いてみればあっという間で。 「大ちゃん達から乗っていいよ」 「ん?おう、サンキュ」 乗り場で順番待ちをしていたら、前にいた創が順番を代わってくれた。なんでだかわかんねえけど。 にこにこと手を振る創に首を傾げながらも、ゴンドラ乗り場へ向かった。 「こちらの二名様、限定カップルシートのご案内となります!」 「……はあっ??」 慌てて創に振り返ると、ひらひらと手を振られた。 くそっ、俺達をこれに乗せる為に順番代わったのかあいつ! 戸惑う俺をジャスティンが手を引いてゴンドラへと進む。 「足元気を付けて」 「…ん」 繋いだままの手のひらをぎゅっと握って乗り込むと、「素敵な時間をお過ごしください」なんて係りの人に言われて扉が閉まる。 ガラス面には一周約20分と書いてあった。 20分もこいつと二人とか、俺の心臓ヤバいんだけど! そんな俺の心を知る由もなく、無情にもガチャ!と外からロックが掛けられて、ゆっくりとゴンドラが動き出した。

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