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第11話

「なぁ。俺、苗字で呼ばれるの慣れてなくてさ、蓮でいから」 友達が去った後、宮原くんがぼくに声をかけてくれた。 「えっ! そ、それじゃあ……蓮……くん?」 「うん、そっちの方がいい。俺は、なずなって呼んでもいいか?」 「も、もちろん!」 「じゃあ、決まりな。……やべっ、先生来た。席戻るわ」 そう言って、宮原……じゃなかった、蓮くんは自席に戻っていった。 (わー、どうしよう! 喋れた上に、互いに名前呼びだって!) 周りに気付かれないよう、机の下で足をバタつかせる。 こんな機会、もうないよね。 だから神様……少し勇気を出しても、いいですか?

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