11 / 51
第11話
「なぁ。俺、苗字で呼ばれるの慣れてなくてさ、蓮でいから」
友達が去った後、宮原くんがぼくに声をかけてくれた。
「えっ! そ、それじゃあ……蓮……くん?」
「うん、そっちの方がいい。俺は、なずなって呼んでもいいか?」
「も、もちろん!」
「じゃあ、決まりな。……やべっ、先生来た。席戻るわ」
そう言って、宮原……じゃなかった、蓮くんは自席に戻っていった。
(わー、どうしよう! 喋れた上に、互いに名前呼びだって!)
周りに気付かれないよう、机の下で足をバタつかせる。
こんな機会、もうないよね。
だから神様……少し勇気を出しても、いいですか?
ともだちにシェアしよう!